世界の逆転
ルカ1章46〜55節
主はみ腕をもって力をふるい、心の思いのおごり高ぶる者を追い散らし、権力ある者を王座から引きおろし、卑しい者を引き上げ、飢えている者を良いもので飽かせ、富んでいる者を空腹のまま帰らせなさいます。(51〜53)
マリヤはこころから主をあがめ、救い主なる神をたたえます。それは主が、まさに逆転をもたらされるお方だからなのです。
1 高ぶる者の末路
ここでマリヤは「心の思いのおごり高ぶる者」「権力ある者」「富んでいる者」が「追い散らされ」「ひきおろされ」「空腹のまま去る」と言います。この世的に言うならばとても不思議なことです。この世的に成功し、また大きな力を持っている者がやがて低くされる日が来る。私たちは、そのような成功が続くと、まるで自分の力と知恵とで、そのことを成し遂げたかのように慢心しやすいのです。またそのような中でお金や地位や、目に見えるもの、この世のものに頼るようになってしまいます。そのようなものはいざというときに私たちを救うこと、支えることはできません。私たちは、ますます神の前に謙虚になる必要があります。おごり・高ぶりは私たちを破滅に導きます。恵みは低いところに流れるからです。
2 卑しい者を引き上げられる神
主は「卑しい者」「飢えている者」を顧み、引き上げ、またよいもので飽かせてくださいます。主は力のあるお方、逆転をもたらすことができるお方だからです。
マリヤの賛歌の背後には旧約聖書のハンナの賛歌があると言われています。子どものなかったハンナはいつもペニンナというもうひとりの夫人にいじめられていました。しかしハンナの涙の祈りを聞いて、ハンナにサムエルという男の子を与えくださったのでした。主イエスの生涯自体もそのことをあらわしています。神からも捨てられて、むごたらしい死を遂げたと思われていた主イエスが、復活し主の主としてあがめられる。エリートであったパウロが主イエスに出会った時に、その生涯は180度変わってしまった。彼はすべてを失った。でも彼は主イエスを得た。そして彼は言うのです。「貧しいようであるが多くの人を富ませ、何も持たないようであるが、すべてのものを持っている」(2コリント6:10)。神さまは逆転を起こしてくださる神です。「この世で富んでいる者たちに、命じなさい。高慢にならず、たよりにならない富に望みをおかず、むしろ、わたしたちにすべての物を豊かに備えて楽しませて下さる神に、のぞみをおくように」(1テモテ6:17)。大切なのは、主をかしこみ恐れ、神の祝福の中を感謝して生きるということなのです。
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