涙の叫び
ピリピ３章１７〜２１節

錦織 博義 師

キリストの十字架に敵対して歩いている者が多い・・・。わたしは、・・・今また涙を流して語る。彼らの最後は滅びである。彼らの神はその腹、彼らの栄光はその恥、彼らの思いは地上のことである。(18〜19)

　パウロは復活のキリストに出会い、キリストの人格と御業によって彼の人となりが創られていった。そして、テモテとエパフロデトは、そのパウロに感化を受けてキリストの奉仕者になった。パウロは人が他人の影響を受け、その人を模範とする態度を｢見倣う｣、また｢手本として歩む｣と言っている。

見倣うことの意味
　弟子は師に見倣うことから始める。理髪、美容、板前等も、弟子が師のやり方を見て真似をし、それを修得することによって、その技術は継承されていく。文化のあらゆる形態は、｢見倣う｣ことから始まる。この｢見倣う｣とは単に｢振舞いを真似る｣ことではなく、そのスピリットや生き方を継承することである。

見倣ってはならないこと
　パウロは涙を流しながら訴える。人人が「十字架に敵して歩んでいる｣からだ。彼らは十字架を知り、信仰を持っていた。しかし、その生き方では十字架を否定していた。
�@彼らの定めー彼らの最後は滅び　十字架は、人を滅びから救い出すものである。そう約束されている。その唯一の救いの道を否定したら、滅びの他にない。
�A彼らの礼拝の対象―その腹　彼らは神でないものを神にしていた。彼らの礼拝の対象は、自分の腹であると言う。｢腹｣というのは、自分の欲望のことである。
�B彼らの判断力―彼らの栄光はその恥　恥ずべきことを恥ずかしく思わなくなる。
�C彼らの特徴―思いは地上のこと　彼らは地につけるもの、快楽、富、栄誉、名誉、権力、地位等にのみ思いを寄せていた。これらの事を考えたとき、パウロは涙なくしていられなかったのである。

見倣うべき生き方
まず私たちは、｢わたしたちの国籍は天にある｣という言葉から、キリスト者としての国籍(身分)を確認しなければならない。私たちの真の国籍は｢天｣にある。それは、キリストのからだである教会の一員であるということでもある。心を天に向け、天の思いを心に満たし、神を崇め、神の聖さ・美しさを思い、いつの日にか天の御国で永遠に生きることに思いを馳せよう。主の再臨の時にこそ、救いは完成する。彼が来て下さることは、これは確実なことである。その時、私たちのこの卑しい身体は栄光の身体に変えられる。その力は、万物をご自身に従わせ得る力からである。ハレルヤ！