あなたは愛されている　　ヨハネ　３章１６節

栗原義忠師(柴又教会牧師)

神はそのひとり子を賜ったほどに、この世を愛して下さった。 それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。

　この御言は聖書全体を貫くキーワードで、福音の命が凝縮されています。「愛して下さった」は、大事な存在として思われていることです。
　神はそのひとり子主イエスを手放して、私たちの世界に送って下さいました。それは、神が私たちを愛しておられることをわかるようにされるためです。また、主イエスが人間のかたちをとって来られ、私たちを救うために身代わりとなって十字架にかかられたのです。これは決してたやすいことではなく、そこに神の豊かな愛が現されています。私たちを永遠の滅びから救い出すための神のプレゼントです。それは無代価で与えられ、信じて受け取るだけでいいのです。
　旧約聖書は神の厳しさの中に、神の深い愛が切々と語られています。他の被造物とは違い、人間は神のかたちに似せて神の深い愛の中に生かされる霊的な存在として造られました。最初の人アダムのように、神から離れ背を向けていると、神の愛を受け取ることはできません。自分はどこも悪くないと言い張るところに、人間の罪の姿があり、人間関係を壊し、地下水脈のように流れ続けて、あらゆる人の中にその影響が及びました。しかし、神はこの人間の罪を受け止めながらも人間に対する愛を決して捨てることはなさいませんでした。そのことを旧約聖書は語り続けています。「あなたは高価で尊い」（イザヤ43:4）、「限りなき愛をもって愛している」（エレミヤ31:3）と、神を知りながら、背を向けて自分の生き方をしている人々に語っています。でも人々は耳を貸しませんでした。神は、決してその愛を注ぐことにおいて制限をされません。
　その神の永遠の愛を具体的に見せて下さったのが、主イエス・キリストです。主イエスは、十字架の前にご自分を裏切ろうとするユダさえも愛し通されました。何という大きな愛でしょうか！この神との愛の関係が回復される時に、私たちのお互いの人間関係が回復される道が開かれていきます。私たちは、神の愛がどうしても届かないそういうもの持っています。主イエスは私たちのこの罪のために身代わりとなって死んで下さり、そこに神の豊かな愛が表されて、私たち一人ひとりを大切な、掛け替えのない愛すべき存在として見ていて下さいます。聖書はただ信仰によって救われると語ります。
　私たちは、ただひたすらに神の愛を受け取ることから始めたいと思います。