この士師記十八章には二つの大きな問題があります。一つはダン族がヨシュアの時代にくじによって割り当てられた土地からずっと北の方、ヨルダン川の源流に近いライシュにその居住地を移したということです。ダン族に最初与えられた土地に住んでいた先住民たちは力があり、追い出すことができなかったのです。ただ、イスラエルの各部族の人々にとって、神から与えられた土地を離れるということは本来、あってはならないことでした。ライシュに住んでいた人たちは穏やかな人たちで、ダン族の人たちがその地を自分たちのものにすることは容易だったのでしょう。ただイスラエルの国の一番北側に住みつくことは、将来北から諸民族が攻めて来たときに、真っ先に占領されてしまうということでもありました。
もう一つは、エフライム山地に住むミカの家から偶像とレビ族の若者を奪い取って、自分の部族の礼拝の対象にしたことです。イスラエルのうちに偶像礼拝が深く根ざしていたのです。