イザヤ21章

「倒れた、倒れた、バビロンが。
その神々の偶像はすべて破壊され、地に落ちた。(9)

 イザヤが活躍した時代に、最も大きな力を持っていたのはアッシリア帝国であり、バビロンはいわば、アッシリアの一属州でした。しかし、後には、アッシリアを滅ぼし、バビロン帝国が世界を支配していきます。そしてエルサレムもバビロンによって破壊され、民はバビロンの地に捕囚として連れ去られたのでした。
 しかし、イザヤはそのバビロンが滅びると断言します。イザヤの時代にはまだ、後の時代ほどはバビロンは大きな力は持っていなかったでしょうし、またイザヤの預言を後の時代の人たちが読んだ時には、この大きな権力を握り、繁栄を極めたバビロンが滅びるとは到底信じられなかったことでしょう。しかしバビロンは滅び、その巨大な神々の偶像は破壊されてしまったのでした。
 イザヤは語ります。世界を支配するのはエジプトでも、アッシリアでも、バビロンでもありません。この世の繁栄は一時的でやがては過ぎ去るものです。世界の本当の支配者は万軍の主なる神なのです。