詩編120編

苦難の時に主に呼びかけると
主は私に答えてくださった。(1)

 ここからしばらく、「都に上る歌」が続きます。イスラエルにおいては人々は、年に何度かの祭の時に、エルサレムに上って、そこで主にいけにえをささげ、主を礼拝するように命じられていました。イスラエルの歴史の中では、エルサレムが廃墟になっていたり、神殿礼拝が廃れていたり、また民が捕囚の地に散らされてしまったりして、エルサレムに上ることができない時も長く続きました。しかし、だからこそ、共にいろいろなところからエルサレムに上って行くその巡礼の旅路は本当に大きな喜びの時だったはずです。これらの詩編はそのようなエルサレムへの巡礼の旅路の中で共に歌われたものだったのでしょう。
 この詩編の記者は偽りの唇や、欺きの舌によって苦しめられていました。しかし、そのような苦難の中で、この作者は、主に呼びかけます。そして主はその声を聞いて、彼に答え、彼に向かって戦いを挑んで来る敵から守り、助け、救ってくださったのでした。