詩編88編

主よ、わが救いの神よ
私は昼も夜も御前で叫びました。
私の祈りが御前に届きますように。
私の叫びに耳を傾けてください。(2~3)

 この詩編の記者は深き嘆きの中で主に向かって祈っています。災いが臨み、命の危機が迫っています。神の怒り、憤りの下に置かれているように感じ、神の御手から切り離されたように感じています。親しい人々も彼を見捨て、彼は人々からいとまれています。彼は逃れ道がないように感じ、また闇の中に閉じ込められているように感じています。
 この詩編は救いようのないうちに終わってしまいます。ただ、ある意味、私たちはこのような詩編にも親しみを感じます。それは私たちの生涯の中にもこのような経験はあるからです。祈ってすぐに答えられることもなく、悶々とし、またうめくようにして日々を過ごす、そのような時です。
 ただこの詩編の記者はそれでも、主を叫び求め、御前に祈ることをやめません。彼の感覚としては自分の祈りが空を打っているように感じていたかもしれません。しかし、彼の祈りはちゃんと届いています。この詩編がここに残っていることがそのしるしです。