詩編86編

主よ、あなたの道を示してください。
私はあなたのまことの内を歩みます。
私の思いを一つにし
あなたの名を畏れる者にしてください。(11) 

 この詩編の記者は自分のことを「忠実な者」「あなたに信頼する僕」と言います。決して高慢な言い方ではなく、文字通り真実にそのような生き方をしていたのでしょう。しかし、そのような忠実な彼が同時に自分のことを「苦しむ者」「貧しい者」ですと語ります。
 私たちは祈ってもなかなか自分の思うような解決が与えられないときに、神を乗り換えて、他の神々にすがろうかという思いが頭をかすめるのかもしれません。または、祈りを聞かれる神への信頼をなくしてしまうこともあるのでしょう。この作者に逆らって立つ傲慢な人たちがいます。彼らは神を神としないのですが、時に勝ち誇っています。
 しかし、この詩編の記者はただ主なる神に信頼し続けます。「あなただけが神」「奇しき業をなさる方」と告白し、神の憐れみと救いを待ち望みます。そして自らは、一つ思いに主を恐れて生きる者として生きることに徹するのです。