詩編49編

しかし神は私の魂を贖い
陰府の手から取り上げてくださる。(16)

 財宝を多く持っていることで喜び、また、その富の豊かさを誇る人たちがいます。また、広い土地を持ち、また豪華な家に住むことで満足している人たちがいます。そして自分の力や知恵や富に自分の平安の根拠を置こうとするのです。しかし、どんなに豊かであっても、どんなに地上的な権勢を誇っていたとしても、私たちはやがて年を重ねて死んでいきます。地上の何かにすがり、目に見えるものを頼りにして生きる歩みはとても虚しいものです。私たちはそのようなものを何一つ死の向こうに持って行くことはできないのです。
 けれども、この詩編の作者は神を頼みとします。神は私の魂を贖ってくださる・・・死でさえも、神の御腕の中から私たちを奪い去ることはできません。かえって、神は私たちを死の支配から、ご自身の支配、命の支配の中に取り戻してくださいます。それは私たちが地上で経済的に豊かで大きな権力をもっているかどうかということよりもずっと大切なことです。