詩編38編

わが主よ
私の望みはすべてあなたの前にあります。
嘆きもあなたから隠されてはいません。(10)

 この詩編の記者はとても厳しい状況の中に置かれています。厳しい病が彼を打ち、彼には健やかなところはありません。彼の体はその病のゆえにただれ、悪臭を放っています。家族も友人ももはや彼に近づこうとはしません。敵は彼の置かれている状況を知って歓喜しています。そして敵はますます勢いづき数を増しています。
 この詩編の記者は自分の苦しみが、自分の罪の結果であることを知っています。彼は神に裁かれ、神に責められているのです。もちろん、すべての試練や病が罪の結果だとは聖書は教えていません。しかしこの詩編の記者は、病の中で自分の罪とも向き合っています。その意味では彼はこのような苦しみも受けとめているとも言えます。
 しかし、同時に、彼はそれでもその望みを神に向けます。彼の望みも嘆きもすべてを聞いてくださる主に心を向けます。この作者はどこまでも主の救いを待ち望むのです。