ヨブ32章

私は誰かを偏り見ようとは思わない。
人にへつらうことはしない。(21)

 ヨブ記においては三一章まででヨブの友人たちとヨブとの対話は終わります。そしてこの三二章では新しい登場人物が現れます。エリフです。エリフの発言は、三二章から三七章まで続き、このエリフの発言に対してはヨブは何も言葉を発していません。そして三八章からは神がヨブに語られるのです。主は、ヨブの友人たちのことは責めておられますが、エリフについては何もおっしゃいません。エリフの発言の中にはある種の真理があり、そして後に語られる主の言葉に対してヨブを備えさせたとも言えるのです。
 エリフはヨブや三人の友人たちよりも若かったようです。そして彼は彼らのやりとりを聞いていました。しかし、友人たちがヨブが罪を犯したから災いにあうのだということしか言うことができずに言葉を失い、またヨブも語り尽くして黙す中で、口を開いて語り出します。彼は偏見やへつらいからではなく、ある意味、冷静に語り出します。そしてヨブも、今度は黙ってエリフの言葉に耳を傾けるのです。