ヨブ12章

安楽な思いの中には不運な者への侮蔑があり
人が足を滑らせるのを待っている。(5)

 ヨブの友人たちは知恵の言葉を語ってヨブを神の前にもう一度立たせようとします。しかし、彼らの知恵はとても偏っていて、一方的であり、ヨブの苦しみや悩みに触れることもなく、またヨブの苦しみを理解しようとしていませんから、当然、彼らの知恵はヨブに慰めを与えることはできません。
 ヨブの友人たちはヨブのためを思って発言していたのだと思います。しかし、彼らは自分たちを安全な、高い所に置いて、何も分かっていないにもかかわらず、苦しむヨブを断罪したのです。
 人はやはり栄える人には一目置きます。しかし、苦しむ人、貧しい人、不運な人に対しては、表向きやさしく同情的な言葉を投げかけていたとしても、困難の中にある人を見下げ、侮蔑するような思いが容易に忍び込んでくるのです。ヨブの友人たちはそのようには思っていなかったかもしれませんが、自分自身がヨブをさらに苦しませていることに気づかなければなりませんでした。