歴代誌下30章

あなたがたの神、主は恵みに満ち、憐れみ深い方である。そのもとにあなたがたが立ち帰るなら、御顔を背けることはない。(9)

 神殿が清められ、そこで礼拝が再開していったことは南王国ユダの人々に大きな喜びをもたらしました。その時、ヒゼキヤ王と南王国ユダの人々は主が定められた過越の祭を行おうと決意します。過越の祭は、エジプトで奴隷であったイスラエルの民が主の力強い御手の中で救い出されたことを記念する祭です。南王国ユダも、決して楽な状況の中に置かれていたのではありません。アッシリア帝国はしばしば国々を脅かし、また実際にこの時点ではすでに北王国イスラエルは滅ぼされて、多くの民が捕囚となって引いて行かれていました。そのような中で、過越の祭を祝うということは、まさに主が救い主であり、自分たちを脅かす敵がどんなに強く大きかったとしても、主は勝利を、救いを与えることができるという信仰の告白でもありました。
 またヒゼキヤたちは失意の中にあったであろう北王国イスラエルに残された民をもこの祭に招いたのでした。