サムエル記下19章

王は身を震わせ、門の上の部屋に上って泣いた。彼は上って行きながらこう言った。「わが子アブシャロムよ、わが子よ、わが子アブシャロムよ。私がお前に代わって死ねばよかった。アブシャロム、わが子よ、わが子よ。」(1)

 アブシャロムが死んだことを聞いたダビデは悲嘆に暮れます。アブシャロムはダビデの子であっても、神に選ばれ油注がれたダビデ王に反逆したのであり、またアブシャロムが生きているときに、ダビデはアブシャロムを受け入れて穏やかに、心を割って話すことはできませんでした。アブシャロムが自分の兄アムノンを殺したからです。ただ、ここでダビデのアブシャロムに対する愛情があふれ出ます。そしてダビデはそれを押さえることはできませんでした。
 新約聖書の中で、主イエスがエルサレムを目の前にして嘆いた叫びはこのダビデの嘆きに通じているとも言われます。主イエスは背き続けるイスラエルの民を見ながらなお「ああ、エルサレム、エルサレム」と泣かれたのでした。神は一人の人も滅びることを願ってはおられません。どんなに罪深く汚れた者であっても、主はその人が滅びることを嘆かれます。その人が悔い改めて生きることを願っておられるのです。