サムエル記下15章

王はツァドクに言った。「神の箱を町に戻しなさい。もし、私が主の目に適うのであれば、主は私を連れ戻し、神の箱とその住まいを見せてくださるであろう。(25)

 アブシャロムは入念な準備を重ねて人心をつかみ、ヘブロンにおいて、一方的に王となることを宣言しました。それは父親であるダビデに対する反逆であるとともに、主が立てられた者が王となって治めるというイスラエルの定めをないがしろにし、ダビデを立てられた主を否定することでもありました。
 ダビデは自分の家臣たちを連れてエルサレムから逃れます。また祭司のツァドクとエブヤタル、そしてレビ人たちも神の箱を担いでダビデと同行しようとしていました。神の箱を持っているということは、まさに主が自分たちと共にいてくださる、正義はこちらの側にあるということの根拠としても用いられることだったと思います。
 けれどもダビデは神の箱を自分のために利用することはしません。かえって、神の箱をエルサレムに戻し、主の御手の中に自分の生も死もすべてをおゆだねしたのでした。