サムエル記上27章

ダビデは考えた。「このままではいつかはサウルの手にかかるに違いない。ペリシテ人の地に逃げるほかはない・・・。」(1)

 ダビデは何度もサウル王の命を奪うチャンスがありながら、サウル王を殺すことはありませんでした。確かにサウルは主に罪を犯し、悪霊に取りつかれて、全く悪意のないダビデを追っています。しかし、サウルに油を注いでイスラエルの王として立てられたのは主です。ダビデはその主を畏れました。そして、このようなダビデの姿勢は、後にダビデが王になった時に、イスラエルの民に対して大きな証し・模範となったはずです。
 ただ、どこまでも追ってくるサウルに対して、ダビデは「ペリシテ人の地に逃げる他はない」と考えるようになります。そこまで追い詰められていたとも言えますが、このダビデの考えはとても愚かなもので、実際にペリシテの地に逃げていったダビデはその地の王アキシュを欺き、その信頼を得ることに成功します。しかし、ダビデは、違った意味でとても厳しい立場に自らを追い込むことになってしまったのでした。