サムエル記上21章

ダビデはこの言葉が気にかかり、ガトの王アキシュを非常に恐れた。そこでダビデは・・・捕らえられると気がふれたように見せ、町の門の扉をかきむしったり、ひげによだれを垂らしたりした。(13~14)

 ダビデは取るものも取りあえず、サウルのもとから逃げます。食べるものも武器もありませんでした。ダビデは祭司アヒメレクのところに行って、パンを受け、かつて自分が倒したゴリアトの剣を受け取って逃げていきます。ダビデはサウル王のもとから危機一髪のところで逃げていき、主もまた逃げるダビデを守られたとも言えます。またこのようなサウルに追われた苦しい経験の中で、彼は主に信頼することを学んでいったのであり、このような逆境の経験が後のダビデを支えたというのもその通りだと思います。
 ただ、サウルをただ恐れて逃げる姿は、ダビデのあるべき姿ではなかったように思います。ダビデの来訪はアヒメレクの家に大きな災難をもたらすことになりましたし、ダビデがペリシテのガトの王アキシュのもとに逃れて、狂人のふりをしてピンチを切り抜ける姿は、人の言葉を気にし、また恐れにとらわれた人間のみじめさを見るようにも思います。