サムエル記上11章

しかしサウルは言った。「今日は誰も殺されてはならない。今日、主がイスラエルのために救いの業を行われたのだから。」(13)

 サウルは油を注がれてイスラエルの王となりましたが、まだサウルも、イスラエルの民も、王はどのような存在で、何をするのかということが十分理解できていませんでしたし、イメージもなかったのだと思います。サウルはその後も畑仕事をしていました。しかし、そのような彼の元に、ギルアドのヤベシュから助けを求める使者がやってきます。ギルアドのヤベシュとは士師記二一章で一度滅びた、暗い歴史を負った町です。
 サウルはその知らせを受けて、イスラエル中から兵を集めてアンモン人と戦い、大勝利を得たのでした。このことでイスラエルの民はサウルが確かに神に立てられた者であることを確信し、サウルの元で心を一つにしていきます。サウルは大勝利を得ましたが、それが自分の能力によることではなく、救いの業を行われたのが主であることを知っていました。サウルは自分が王となった時、そのことを快く思わなかった人々にも復讐しませんでした。共に主を喜び、主の救いを祝ったのです。