使徒行伝26:1~8

今わたしは、神がわたしたちの先祖に約束なさった希望をいだいているために、裁判を受けているのであります。(6)

 エルサレムで捕らえられ、ローマ軍の駐屯地があったカイザリヤに移送され、監禁されていたパウロは、アグリッパ王の前で自分の弁明を始めます。ローマの総督フェストや他の指導的な立場にある人々もそこに集まってパウロの弁明に耳を傾けます。アグリッパ王やその他の高官たちにとっては、一人の囚人の言い分を聞くということだったでしょう。しかし、パウロにとっては福音を語るまたとないチャンスでした。パウロにとってはまさにそこは伝道集会の場だったのです。
 彼は自分は自分に与えられている「希望」のゆえに裁判にかけられていると語ります。その希望は神が自分たちの先祖に約束なさったことであり、イスラエルの民は皆、この約束を信じて歩んできました。それは神がメシヤをアブラハム、ダビデの子孫の中から生まれさせ、イスラエルを救い、またすべての民を救われるという約束でした。パウロは、十字架・復活の主イエスこそが神が約束され、自分たちが待ち望んでいた救い主であることを悟ったのです。